第21章 folder.5
「よお!大野のとこのボン!」
松岡の叔父貴は、ボンのことがお気に入りらしくすぐ絡む。
城島さんは苦笑いして俺を手招きした。
「ボンのお守りはあの人がしとってくれるから、お前先に準備してしまえ」
「はあ…」
ちらりとボンを見ると、ありがた迷惑みたいな顔で松岡の叔父貴にヘッドロックされていた。
「さ、こっちへ」
ソファのある部屋の奥は、一段上がっていて座敷になっている。
ふすまを開けると、中には着物を着た景子姐さんが居た。
「櫻井。この度はお目出度う」
畳に手を付いて頭を下げられて焦った。
「あっ…そんな…」
「アホ。ここはありがとうございますと手をついておけ」
こそっと言われて、慌てて畳の上に正座して頭を下げた。
「あ、ありがとうございます!」
「ふ…じゃあ、私が準備を手伝うから」
「は、はあ!?」
「大野は女手がないだろう?だから今日はアタシも手伝いなんだよ」
組長や幹部連ももう着付けを済ませたとのことだ。
「さ、脱いで?」
「えっ…」
「あ、櫻井。正装やから、おまえふんどしだぞ」
「えっ…」
「さあ、早く脱いで?」
「ちょ、姐さんっ…」
「男ならはよ脱がんかい」
「じょ、城島さんっ…」