第4章 傷だらけの翼
「入るよ」
襖が開いて、姐さんと松岡の兄貴が入ってきた。
「すまん、遅れた」
松岡の兄貴は苦笑しながら山口の兄貴の隣に座った。
「あら…小杉もいたのか」
にっこり微笑むと、俺の隣に座った。
「姐さん、座布団…」
「あら。気の利くこと…」
俺の差し出した座布団を敷いて、姐さんは一堂を眺め渡した。
「あたしは、今日限り喜多川から身を引く。総長の付き添いでこれから病院にはいる。そのまま、ここには戻ってこない。葬式の時だけ戻ってくるがね」
「姐さん…!」
「後は…総長代理がきっちりとやってくださる」
「親父は…これから入院するのか?」
「ああ…自宅で死ぬと、何かと面倒だ。だからといって堅気の医者なんか来てもらってもね…あちらが困るだろうから…」
そう言って目を伏せた。
「これであたしの仕事は終わりだ…女がでしゃばってすまなかった。これでおじさんへの恩も、返せたと思うからあたしはここで、この世界から身を引かせてもらう」
「姐さん…」
「東山と近藤も…もう、喜多川に恩を感じる必要はない。一家を立てて、極東翼竜会を盛り立てて欲しい」
「俺は出ないよ?姐さん」
「俺も、智を助けたいと思ってる」
「あんた達…」