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翼をもがれた竜【気象系BL小説】

第21章 folder.5


コンコンとノックの音がして、ボンが顔を出した。

「翔?風呂入った?」
「あ、ええ。もう済んでます」
「そっか。飲まねえ?」
「はい。今行きます」

ボンの部屋に行くと、窓際のテーブルにもう酒が用意してあった。

ベッドに腰掛けたボンが手招きする。

「じゃあ、お邪魔します」

今日は組長は本家に行っている。
さっきまでボンはゆっくりと油絵を描いていた。

「…今日と明日さ、誰も居ないから…ゆっくりしよ?」
「え?」
「なんか本家でいろいろあるみたくって、今日は親父あっちに泊まるってさ」
「そう…ですか…」

簡単なつまみまで用意してあった。
これはじっくり飲むつもりなんだな。

「最近、ゆっくり話してなかったから…今日は飲もうや」
「はい…」

もうすぐ、大野組は盃式を迎える。
これは前の若頭の引退式と、新しく幹部になる者たちとの盃事を一緒にやる大規模なものになる。

俺は若頭付きのまま、若衆頭を兼任することになる。
このまま行けば、俺が次の若頭ってことになるのかな…

金の力って偉大だ。

なんの実力もあるわけでもない俺が、出世コースにすんなり乗ってしまうなんてな。

大野組に拾われた頃には、考えられなかったことだ。

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