第21章 folder.5
一年前入ってきた頃よりは落ち着いてきたが…
まだこいつはボンにケンカを売っては、ボンをぼこぼこにする癖が抜けない。
ボンは放っておけっていうんだけど…
毎回止めるこっちの身にもなって欲しい。
「今日は大きなのはないから…ま、とりあえず説明するから」
賭博なんぞどこの組でもやってることだ。
定期的に警察のガサが入るが、それも事前にわかっていることだから、適当に受け流してる。
「所轄の松重っていうのがいるから、そいつに付け届け忘れないようにな」
「わかりました」
俺はこいつらが仕切れるようになったら、株の方に専念してもいいとのことだ。
「…ま、ここは俺が作ったから、好きなようにしてってくれればいいから」
「すごいなあ…櫻井の兄貴はやっぱ頭がいいんだな…」
相葉がからかうように言う。
「もう…それ、やめません?」
「でも兄貴分になるんだし、慣れてくださいよお」
「いやあ…もうなんか…」
「じゃあ、翔さんって呼ばせて貰います。それならいいでしょ?」
「ああ…じゃあ慣れるまでそれでお願いします…」
ぶっと松本が吹き出したが、それもしょうがない。
二宮は相変わらずぶすっくれているが、手は動かしているから大丈夫だろう。