第21章 folder.5
早く着ろと急き立てられて、スーツに腕を通すとしっくりとくる。
「これ…ボンにはちょっとサイズがでかいんじゃないですか…?」
「そうか?」
そういってニヤニヤしてる。
「もしかして…俺のために?」
ふふっと笑うと背中を向けた。
「早く着ろ」
その背中が嬉しそうに笑ってて。
ボンはこの日のために、俺にスーツを用意してくれたんだ…
「ありがとう…智…」
ぎゅっと後ろから抱きしめると、照れた智はそっぽを向いた。
「今日から相葉と二宮、それから松本をお前の下につけるから…あいつらを使っていいよ」
「えっ…相葉の兄貴も!?」
「今日からはお前が兄貴分だ」
「俺が…?」
「きっちり面倒みろよ?あいつらに、賭博のほう任せていいんじゃないか?」
俺が若衆頭になるってことは、そういうことになる。
並み居る兄貴たちを飛び越して、出世するってことなんだから…
「草彅の叔父貴も、もうお前一人でやっていけるって言ってたから…とりあえず、賭博のほうはあいつらに任せて株のほうをお前はやったらいんじゃねえか?」
どうやら組では、俺に株の方をやってほしいらしいな…