第20章 folder.4
部屋の準備ができるあいだ、ホテルの中のレストランで食事をすることにした。
夜景が素晴らしく、レインボウブリッジが一望できた。
「凄いなあ…人間ってあんなもの作っちゃうんだからさ…」
「ここのホテルだって高層だろう?」
「まあね…でも、陸地じゃん?あの橋なんて海の上だよ?よくやるよね…」
智は案外、テーブルマナーが綺麗で。
でも時々、はしたなくフォークを唇に着けたまま喋ったりもする。
でもその仕草…
時々ものすごくエロティシズムを感じてしまう。
「…翔?」
「えっ…」
「どうしたの?俺の顔に何かついてる?」
「いや…」
お前の唇がエロくて見惚れてたなんて、こんなところで言えるわけがなかった。
「部屋に戻ったらな」
「?」
食事を済ませると、ボン専用のカードで清算を済ませる。
いつもこの調子だから、一晩でン十万ポンと飛んでいくこともあった。
やっと最近、このヤクザの金銭感覚に慣れてきたところだ。
フロントに降りていくと、部屋の準備が整っているとのことだった。
カードキーを預かって、エレベーターに乗り込む。
上層の部屋まで、エレベーターの中は無人だった。
そっと智が手を絡めてきた。
「早く…着かないかな…」
「すぐだよ」