第20章 folder.4
「翔に嫌われたら俺…生きていけない…」
最後のほうは、声になってなかった。
「智…」
やっぱり…組長が家に帰ってこないのが、ボンには堪えてるんだろうか…
「翔のこと…好きなんだもん…離れたくないんだもん…」
も、心臓破れる…
そっと身体を離して、ボンの顔を覗き込んだ。
「智…?」
ぷいっと目を逸らすけど、顔が真っ赤で。
耳まで赤い。
でも、ボンは何か俺の言葉を待ってる。
そう…とびっきりの愛の言葉を…待ってるんだ。
「智…ねえ、こっち見て…?」
少しぐっと何かを堪えてから、そっと俺の目を見た。
「…愛してる…絶対に、離れないし、離さない」
「翔…」
「だから、俺に嫌われるとか無駄なこと考えてる暇があったらさ…」
ぽろっと零れてきた涙を親指で拭った。
「もっと俺の事、愛せよ」
そう言って力いっぱい抱きしめてやった。
「うん…うん…翔…愛してるっ…」
ぎゅうううっと抱きしめたら、当然盛り上がってきて…
「あ…だめ…今日は城島が来てるから…」
「ああ…そりゃ、まずいな…」
自宅だからと、気軽にえっちなんかできるはずもなく…
勿論、俺たちの関係は極秘だからね。
慌てて俺たちは上着を掴んで家を飛び出した。