第19章 folder.3
相手の若衆がなだれ込んできて、事務所内で喧嘩が始まった。
なんだか知らないが血が沸き立った。
初めて素手で人を殴っていたら、長部屋に近づく輩が見えた。
「テメエこのやろおっ…」
夢中になって相手を殴っていたら、慎吾兄に止められるまで無茶やってるのに気づかなかった。
「櫻井っ…やめろっ…!」
そう言って剥がされるまで、周りが落ち着いてしまったことに気づかなかった。
「ちったあ加減しろや!死んじまうだろうが!」
一発殴られてやっと正気に戻った。
「ボンっ…」
長部屋に飛び込むと、顔を真っ青にしたボンが立っていた。
「ボン!もう大丈夫ですから…!」
「いい、俺は大丈夫…」
俺の肩を押しのけると事務所に出ていった。
事務所はまだ怒声が飛び交っていた。
襲撃してきた相手は、関西の組らしく関西弁が飛び交ってる。
「オイ…表、鎮めてこいや…」
ボンの一言で相葉の兄貴が飛び出していった。
客分の叔父貴たちは襲撃してきた相手を事務所の奥のタコ部屋にひとまとめにして詰め込んだ。
草彅の叔父貴がドアの前でボンと喋ってる。
「とりあえず、所轄の松重に連絡しとけや…智…」
「ああ。わかった…」