第19章 folder.3
意外とヤクザって喧嘩ができない。
やっぱり看板を背負ってるから、下手に素人にも手を出せないし…
同業に喧嘩売られても、大野の者だとわかるとさっと向こうが手を引いていく。
素人に喧嘩を売られても、こっちは本職だから手を出しちゃいけない決まりになってるし…
大野は比較的平和な組で…
大野守組長がそういう人だから、武闘派の叔父貴たちも兄貴たちも事務所ではいざこざを起こさない。
学生時代やんちゃして上がってきたやつは、喧嘩慣れしてたけど、俺みたいなボンボンからヤクザになった変わり種は喧嘩を実践する日なんてこなかった。
見た目だけチンピラになれたはいいが、中身はちっともチンピラにすらなれていなかった。
そんなフラストレーションを抱えた俺は、ボクシングジムに通うようになった。
ここなら人も殴れるし、ストレス発散できた。
ボンが絵を描く週末の夜、俺はボクシングジムに通うことにしてた。
ヤクザってことは隠して、フリーターとしてそのジムには通ってた。
そこで賭博を覚えた。
プロにはなる気はなくて、金が欲しい連中が集まって、賭博をするようになった。
胴元は俺。
軽い気持ちで始まった賭博だったけど、結構規模が大きくなってしまった。