第4章 傷だらけの翼
ちらりと俺を見る視線を感じながら、障子戸の前で膝をついた。
「総長、兄貴方、智参りました」
畳に手をついて頭を下げる。
「ああ…ご苦労様。こっちへ」
東山の兄貴が招き寄せる。
何人か立ち上がり俺に場所を開けてくれた。
総長代理とは便利なもので。
あれだけピーチク踊ってた奴らが、今日はおとなしい。
姐さんが、親父の耳元に話しかける。
「総長、智が来ましたよ」
親父は頷くと、姐さんに指で指示を出した。
「智、養子縁組、さっき整った。これで総長とあんたは、正式な親子だから」
「はい。ありがとうございます、総長」
畳に手をついて頭を下げた。
その頭に、親父は手を載せた。
「智…殺しちゃ…いけねえ…」
その場の空気が一瞬にして凍った。
「親父…なんのことだよ…」
「殺すときは…全ての始末をつけろ」
おいおい…何言ってくれんだよ…
殺すやつがここに居るのに…
「おっ…親父っ…そりゃあ一体何の話なんだよ!?」
小杉がチビリそうな勢いで喚く。
親父は傍らの近藤の兄貴に向かって手を振る。
近藤の兄貴が立ちあがって、小杉を座敷から連れだしていく。
「ちょっ…待てよ!近藤の!あいつ…智にきっちりナシつけてやる!」
「なんの話だよ…アンタ一人で熱くなってんじゃねえか…」