第19章 folder.3
「俺がガキだから?俺が甘ちゃんだから?ねえ、渋谷さん…俺、覚悟ができないのか」
「お、オイ…翔、どうしたんだよ…」
「認めて貰いたいんだ…俺は、ここで生きていくんだ…じゃなきゃまた追い出される…」
「オイって…!」
いきなり腕を掴まれて道路に座らされた。
「なんやいきなり…どうしたんだよ?」
「あ…すんません…」
火の着いたままのタバコを差し出された。
「少し落ち着けや」
「はい…」
すうっと胸いっぱい吸うと、むせた。
「うっ…ごほっごほっ…」
「ああ…もう…」
ペットボトルの茶を差し出されて、少し飲んだら落ち着いた。
「たばこもやったことないんかい…」
「すんません…」
「謝るこたないがな…やっぱお前、お育ちがええんやろうなあ…」
酒やタバコはやる友達はいたけど…
そんなことには興味が向かなかった。
「そら、ボンもお前のこと懐に入れたがるわけや…」
「え…」
「子猫を守る母猫みたいやで…今のボンは…」
やっぱり…周りにはそう見えてるんだ…
どうしよう…
このままだと俺はまた…
両手を見た。
苦労したことのない、生白い手。
この手が汚れたら…
あの人の近くにずっといられるのだろうか。