第19章 folder.3
「画材…」
「組のもんじゃ、わからないことが多いからな…俺、こう見えて芸大通ってたんやで」
「えっ…!?」
「だから、アクセもな、気が向いたら作ってるやろ?」
「ああ…」
道理でハイセンスなアクセサリーを作る。
「何を専攻してたんですか?」
「は?」
「えっ…俺、変なこと聞きましたか?」
「いや…今まで大野のモンにそんなこと聞かれたことなかったわ…」
「はあ…」
やっぱり俺、変なのかな…
高校の同級生には、そのまま大学に進まず芸大を受験するヤツも居たから、単純に興味で聞いただけなんだけどな…
「工芸学科や。だけどまあ、油絵なんかもやってたからな。ボンにはいい話し相手やっちゅうてな…」
「へえ…じゃあ、アクセサリーなんかお手の物ですね」
「…ふうん…やっぱ、お前、スれてないんやな…」
「え?」
「ボンボンやったんやろ?お前」
「え…そんなこと…」
「滲み出てるんやわ。なんちゅうか…汚れてないっていうんかな」
渋谷さんはタバコに火を着けた。
「半分堅気に足、突っ込んだままなんやろうなあ…」
「なんで…」
「え?」
「俺…この世界でやってこうって思ってるのに…なんで皆そう言うんだ…」