第18章 folder.2
見捨てられる…
ぞっとした。
あの人に見捨てられたら、今度こそ俺は終わりだ。
なんだかわからないけど、そう思った。
あの人についていけば間違いない。
これもなんだかわからないけど、確信してた。
そんなあの人に見捨てられることを考えたら…
今度こそ、俺はこの世に一人ぼっちになってしまう気がした。
「櫻井?なにボケっとしてんだ」
相葉の兄貴が俺を呼ぶ。
「すんません」
残りの湯呑みの乗ったお盆を持って、俺は事務所に戻った。
叔父貴や客分の兄貴たちは、お茶を受け取って礼を言ってくれた。
「もう慣れたか?櫻井」
こうやって声を掛けてくれるのも、ボンのおかげだ。
あの人が俺を連れ回してくれるから、すっかり俺は顔を覚えてもらっていた。
「はい、なんとか…何かあればまた教えてください」
そう言って頭を下げたら、シーンとした。
「え?あれ…なんかおかしいこといいましたか?」
「いや…別に…」
怖い顔をしたおじさんたちは、俺から目を逸らす。
相葉の兄貴がくすくす笑って俺を台所に引っ張っていった。
「あんた、やっぱ面白い」
そう言って、俺の背中をバンバン叩いた。
面白いことなんてしてるつもりないのになあ…