第18章 folder.2
「親父、いるか?」
長部屋を開けて、ボンは入っていく。
「櫻井、お前はここで待ってろ」
「はい」
待ってる間、電話番をしていた。
事務所の中は、数人の兄さんが忙しく立ち働いてる。
隅の方じゃ、叔父貴や客分の兄さん方が屯してる。
「あ、櫻井。茶でも淹れようか」
相葉の兄貴が台所に入っていくから、後ろを付いて行った。
「今日、本家行ったんだろ?ビビったろ?」
「はい…もう、総長なんか謎のオーラ出ててビビりました」
「おー…もう総長に会ったの?お前すげえな…」
器用に茶っぱを急須に入れて、ポットからお湯を注いでる。
俺も湯呑みを幾つか用意してお盆に並べた。
「まあ、お前育ち良さそうだし、頭もいいしなあ…俺なんかよりも出世早そうだな!」
「そんなこと…」
「でも、お前大丈夫?」
「え?」
「ボンはああいう人だからさ…傍においてくれてるけどさ…ちゃんと覚悟できてんの…?」
そんなこと言われても…
確かに生半可な気持ちじゃこの世界やっていけないのはわかってる…
けど、まだ俺にはこの世界の本質なんて見えてなかった。
「俺はさ…修羅場潜ってこの世界に来たけどさ…前に居た世界よりもなんぼも住みやすいよ…」