第18章 folder.2
ヤクザといえども、やっぱり上の方の人になると、書を贈ることが多いらしく。
総長はその度にボンを呼び出しては、添削してもらってるみたいだ。
「じゃあこれお手本にして、また書いてみてよ」
「ああ…やっぱり智が書くと格好がいいなあ…」
「そんなことないよ…もう、ちゃんとした先生呼びなよ…総長…」
「お前が腕があるから頼んでるんだ。暇なんだからいいだろ?」
「誰が暇なんて言ったんだよ」
「守」
「くそ…親父のやつ…」
姐さんと総長が笑いだした。
「また見てくれよ。智」
出されたお茶を飲み終わったら、総長の書斎からお暇をした。
また姐さんが前を歩いて、玄関まで行く。
「智、お疲れ様だったな」
若頭の小杉さんがすれ違いざまボンの肩を叩いていった。
「どうも。お疲れ様です」
ペコっと頭を下げると、小杉さんはふっと笑って歩いていった。
「ありゃ、若い頃、女をたくさん泣かせたな…」
ボンが得意げにつぶやくと、姐さんが吹き出した。
「なにわかったような口聞いてんだい」
「だって、ああいうのモテんだろ?」
「若頭捕まえてああいうのなんて言うんじゃないよ」
びしっと言われると、ボンは舌を出した。
「こら!智!」