第4章 傷だらけの翼
すぐに相葉にスマホを持ってこさせて姐さんに電話をかけた。
『なんだい朝っぱらから。大丈夫なのかい?智』
「ああ…姐さんわりいな。もう大丈夫だから。で、相葉から聞いた」
『どうする?準備は整ってる』
「すぐ、行くから。手続きできる?」
『いいよ。来な』
「ありがてえ…じゃあ、後で」
相葉にスマホを投げると、緊張した面持ちになった。
「てめえ…ビビってんじゃねえぞ」
「ビビってなんかないっす」
「嘘つけ」
笑ってやると、相葉も引きつった笑いを見せた。
「末期養子なんて柄じゃねえけどな…でもここまで来たら引き返せねえからな…ついてこいよ?てめえ…」
「はい…ついて、行きますから」
相葉の手が、俺をそっと立ち上がらせる。
「早く、準備を…」
喜多川に着くと、若衆が門の外から玄関まで並んでいた。
「おい…今日なんかあんのか?」
「さあ…」
門の中からかっちりスーツを着込んだ長瀬が出てきた。
「総長のおこーし!」
「おけえりなさいましー!」
一斉に若衆が俺に向かって頭を下げる。
「ばーか。まだはえーんだよ」
しょうがないから相葉を連れて、その中を進む。
口々に挨拶されて、好奇の目で見られて俺は玄関まで辿り着いた。