第17章 folder.1
「なんだよ?」
「え?あ、いや…ブレス、似合いますね」
「…そうか…?」
少しだけボンの頬が赤くなった気がした。
「自分で作ったんだ…」
「えっ…すげえ!そんなの作れるんですか!?」
なんでもクレイ粘土とかいうものがあって、それをこねて焼いて磨いて作るらしい。
パーツを作って自分で繋げたんだそうだ。
それを説明している時のボンは、なんだかイキイキしていた。
「今度、作り方教えてやるよ」
「いや…俺、壊滅的な不器用なんでいいです…」
ぶふっとボンは笑った。
子供みたいな笑顔だった。
「あ、お前もなんかいいブレスしてんじゃん」
急にボンは俺の手首を持った。
そこには、皮のブレスを嵌めていた。
細い皮を編み込んで作ったものだった。
俺を拾ってくれた人は、大野組の下っ端だったけど、ヤクザってわけじゃなくて、露天でアクセサリーを売りながらなんやかやとしてる人だったのだ。
「安物ですよ…あの、渋谷さんの店で買ったんです」
「ああ…すばるな。あいつセンスいいもんな」
これは渋谷さんのとこで働いて初めて出た給料で買ったものだった。
いわゆる、社会人になって初めて自分の金で買ったもの。