第17章 folder.1
ゼリーを食べて、まだ頭が痛かったから横になってたら、城島さんが小さい土鍋を持ってやってきた。
「櫻井、起きれるか?おかゆさん、煮てやったで」
「えっ…す、すんませんっ…」
「ええって。たまたま俺しか暇なやつおらんでな…」
「すんません…ご迷惑おかけしました」
飛び起きてベッドに正座して、頭を下げた。
「…ふうん…お前、随分素直なんやな」
「え?」
「きっと良い家庭に育ったんやろうな…」
「…そんなことないです…」
確かに、家柄だけ見れば良い家庭だったかもしれない…
でも中身は…羅刹が棲んでた家だった。
「まあ、いい。さ、はよ食い」
「はい…ありがとうございます」
城島さんは俺が食い終わるまで側に居た。
土鍋が空になると、くっくと笑いながら俺に5万円差し出した。
「は…?これは…?」
「ボンからや。これでなんでも買いってよ」
「えっ…!?でも…」
「まあええって。ボンはお前のこと気に入ったみたいやで。とりあえずこれで、部屋のものとか揃えたらええ。足りんようやったら、俺に言いや?」
「そ、そんな…」
「いいから。じゃ、寝てろよ?」
そう言って城島さんは土鍋を持って部屋を出ていってしまった。