第17章 folder.1
それから特に何の話をするわけでもなく。
黙って俺とボンはビールを飲み続けた。
さっきの問いも、もうボンは口にはしなかった。
「邪魔したな」
持ってきた缶を全部飲み終えると、ボンは空き缶を持って部屋を出ていってしまった。
「う…気持ち悪…」
ぼすっとベッドに倒れ込むと、そのまま泥のように眠りこけてしまった。
次の日の朝、起きたらもう10時を過ぎていた。
「やべっ…」
慌てて起き上がったら、ズキンと頭が痛んだ。
「これは…噂の二日酔いってやつか…?」
ガンガンする頭をなんとか起こして、リビングに出た。
「なんや櫻井、もう具合ええんか?」
城島さんが、リビングで新聞を読んでた。
「へっ?」
「今朝、ボンから聞いた。風邪ひいたんやろ?」
「あっ?えっ?」
「ええから、寝てろ?な?無理すんなや」
「いやでも…」
「ボンがそう言ってるんや。遠慮すんな」
「はあ…」
助かった。
頭がガンガンしてまっすぐ立ってるのも苦痛なくらいだったから。
「なら、休ませて貰います…」
「ああ。今日はボンの誕生日やから、どっこもいかんでええし、気にすんな」
「えっ…誕生日!?」