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翼をもがれた竜【気象系BL小説】

第17章 folder.1


「いや…あんた…」
「あ、翔です。櫻井翔です」
「ん。翔…」

どきっとした。
いきなり呼び捨てになんか、友達にもされたことがない。

「ま、飲めや」

そう言って缶を俺に投げてよこした。
ボンは床に座ると、プルタブを引き上げぐびっと一口飲み干した。
俺もプルタブを上げて、ちびちびと酒を流し込んだ。
少しは飲んだことはあるけど…
美味しいとは思えなかった。

「…酒も飲んだことないんか?」
「え?あ…いや、その…」
「ふうん…」

また一口ぐびっと飲んで、ボンは床を見つめた。

「…いいたくなきゃいいけどさ…」
「はい?」
「なんでこの世界に入ろうと思ったんだ?」

ちらりと俺を見上げた目は、何かを探るようだった。

「あんた、育ちいいみたいだし…」
「えっ…?なんで…」
「そんなの見りゃわかるよ。俺なんかとは偉い違う」
「そんなことないです…」

ふっとボンは笑った。

「別に…隠す必要ねえんじゃね?」
「隠してなんか…」
「ふん…まあいいや。で?なんで?」
「え…その…」

明確な理由なんてなかった。

だだ、拾われたから。
そこがどんな世界だろうと…

俺には関係なかった。

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