第4章 傷だらけの翼
丸裸になった俺達は何度も何度も交わった。
体中の水分が出て行ってしまうんじゃないかってくらい…
何度も何度も果てた。
「ああ…翔…好き…」
「愛してるよ…智…」
翔の背中に爪を立てる。
行かないで…どこにもいかないで…
俺の中に居て…
「っ…智っ…」
反り返った靭やかな背中に更に爪を立てる。
「お願い…どこにも行かないで…」
俺の中の翔が一回り大きくなった。
「行かねえよ…お前を置いてどこにもいかねえって…」
「翔っ…しょうっ…」
「あっ…くっ…い…イクっ…」
「一緒にっ…翔っ…」
「ああ…智…愛してる…愛してるからなっ…」
翔の動きが激しくなる。
ガクンガクンと身体が揺さぶられて、ベッドから投げ出されそうだ。
「あっ…あああっ…翔っ…」
「智っ…」
翔の香りに包まれて、意識が途切れた。
目が覚めたら、松本の腕に抱かれていた。
「あ…気が付きましたか…」
俺は無言で起き上がって松本の背中を見た。
「えっ…智さん…?」
「すまねえ…傷だらけにした…」
「いえ…そんなのどうってことないです…」
「悪かったな…」
そっと傷だらけの愛染明王に唇を這わせた。
「だめです…智さん…抱きたくなります…」
松本として…か。
さっき俺を抱いたのは、翔。
あくまでも翔なのだと言いたいんだろう。