第15章 落陽の夢
暫く車内は無言だった。
「…いいの…?」
何が、とは言わなかった。
「ああ…いいんだよ…」
懐のスマホが震えた。
取り出してみたら、ショートメールが入っていた。
「和也…港区だ」
「え?」
街は…クリスマス一色…
和也と肩を並べて街を歩く。
こんなに賑やかな街を歩くのは久しぶりだった。
あれは…
そう
雅紀の誕生日だったかな…
珍しく翔が外でなんか食おうっていうから、その時たまたま大野の家にいた、雅紀と潤と和也と5人で街に出て…
っていうのは表向きで。
ずっと雅紀は黙ってたけど、みんな誕生日だって実は知ってて…
サプライズでパーティーしてやったんだよな…
クリスマスイブなんて凄い日に、お前良く生まれたなって散々からかって。
潤があの時は服の下に、トナカイのきぐるみをずっと着てて、もうそれだけでおかしくて…
男5人でクリスマスパーティーってだけで気持ち悪いのに、ヤクザとトナカイが一匹ってヘンな集団に、店の奴凄いびびってて。
酔っ払って感激のあまり泣き出した雅紀をなだめるのに、潤と和也が凄い苦労してて。
あんまり泣きやまないから、翔が一発殴って気絶させたんだよなあ…
ひでえやつ…翔…