第15章 落陽の夢
「智…起きて?」
和也の柔らかい声で目が覚めた。
都心のビジネスホテルに泊まった。
遮光カーテンの隙間から、明るい光が差していた。
「あのさ…お願い、聞いて…?」
「なんだよ…」
一時間後、俺達は病院の前に立っていた。
二階の集中治療室の近くまで行くと、喜多川の連中が屯していた。
和也が駆けていって、松岡を連れてきた。
「総長…!」
「すまん…もう総長は降りたんだ…兄貴…」
「えっ…」
「まだ何も聞かされていないのか…」
「どういうことだよ…」
「…あいつらの容体は…?」
「まだ…」
意識は戻らないという。
「面会、行ってもいいか」
黙って頷くと、俺達の前を歩き出した。
城島がうなだれてベンチに座っているのが見えた。
肩に手を置くと、城島は顔を上げた。
「ボン…」
「後、頼むな…」
そう言うと、和也と二人で集中治療室に入った。
入り口で手を消毒して、靴をスリッパに履き替える。
エプロンみたいなのと、白い帽子。
それからマスクを付けて中に入った。
雅紀と潤は…
たくさんのコードや管に繋がれて眠っていた。
体中ガーゼだらけで…
素肌が纏まって見えるのは顔だけだった。
全身を、執拗に切り刻まれていた。
ふたりとも、命があったのは奇跡的だと言われた。