第15章 落陽の夢
「智っ…」
同時に身体がふっとんだ。
和也が俺を突き飛ばした。
「伏せろっ…」
遠くから怒声が飛んでくる。
何が起こったのかわからなかった。
前方に見える櫻井は、よろけながらも俺達から遠ざかっていく。
「早くっ…智っ…」
和也が俺の手を取った。
起き上がると、駈け出した。
「待てっ…動くなっ…」
威嚇するように銃声があたりに響き、地面に何度も着弾する。
「走ってっ…」
言われるまま走りだして、視界が何度も反転するかのように目の前に映像が浮かぶ。
櫻井に駆け寄る、黒いスーツの男たち。
翔…
違う…待って…
そっちじゃない…
「翔っ…だめだっ…行くなっ…」
行っちゃだめだ…!
「智っ…」
和也の叫び声とともに、頬に衝撃が走った。
「しっかりしろっ…あれは翔さんじゃないっ…」
引きずられるように車まで走ると、乱暴に車に乗せられた。
俺は身体の震えが止まらなかった。
あれは…
あれは翔の父親だ。
翔じゃない…
わかってるけど、わかってるのに…