第15章 落陽の夢
夕暮れの灯台は、そこに凛としてただ立ってる。
俺達がここに来る前から、ずっと変わらない風景なんだろう。
そして俺達がここから居なくなっても、それはずっと変わらない。
何も、変わらないんだろう
オレンジ色の風景を、ただ眼の奥に映した。
「智…」
「ん…?」
「なにか音がする…」
「え?」
和也が立ちあがって玄関へ向かう。
「見てくる」
「待て」
耳を澄ませると、確かに何か音が聞こえた。
「人の声…?」
二人で玄関に向かう。
玄関の横の部屋に入ると、電気も点けないで窓から外を見た。
フラフラと外を歩く人影が見えた。
「誰だ…?」
オレンジ色に染まる風景の中に、幽霊がいるようだった。
「え…?」
和也の驚く声。
「櫻井っ…」
人影がゆらりとこちらを見た。
「あっ…」
それは、翔によく似た影だった。
考えるより早く身体が動いた。
そのまま裸足で外に飛び出した。
ユラユラと揺れながら遠ざかっていく櫻井の影を必死で追いかけた。
「櫻井っ…」
影が、こちらを見た。
醜く歪むように驚いた顔をこちらに向ける。
「う…あ…大野っ…」
よろけながら逃げようと走りだす背中にあと少し…
その時、銃声が響いた