第15章 落陽の夢
次に目が覚めたら、もう朝になっていた。
隣に居るはずの和也は居なくて…
ベッドを出て探すと、デッキに座っていた。
もこもこに着込んで、雪だるまみたいになってた。
「…なにしてんの?」
「あ、おはよ」
潮風に吹かれながら、顔を真っ赤にして凍えてる。
「海が綺麗で…こんなのじっくり見ることなんて今までなかったから…」
「そっか…」
太陽はもう昇っていて、青い海を照らしていた。
突き抜けるような青い空は、ただ俺達の上に輝いている。
「…相葉さんや潤にも…見せたかったな…」
「うん…」
暫くそうやって海を眺めてから、朝食を買いに街に出た。
車を少し走らせると小さな集落にでる。
そこのコンビニで飯を買うと、またすぐに戻った。
ふたりともあんまり食欲もなくて。
小さな菓子パンをひとつずつ食べた。
それからとりとめもなく話をした。
和也が大野に来た頃の話…
俺の小さいころの話…
潤や雅紀、そして翔の話…
湿っぽい話じゃない。
ただふたり、ずっと笑い転げていた。
時々抱き寄せてキスをして。
キスをされて。
気がついたらもう夕方になっていた。
「和也…」
「ん?」
腕にくるんだ体温が、沁みる…
「明日、行こう」
「…うん」