第14章 啼き竜
翔…
欲望のまま、本能のまま男を抱いたおまえが
憎かった
俺にはできなかった。
親の期待も、周囲の期待も一身に注がれていた。
自分の性癖は恥ずかしいものだと、人間としてあるべき姿ではないと。
だから必死に認めないで過ごしてきたのに。
翔が男を抱く姿を見た瞬間、俺は悟ってしまったのだ。
俺は普通ではない。
それを気づかせた翔が憎かった。
俺のできなかったことを上手くやっていた翔が許せなかった。
だから、殺した
男として、目指せる頂上に登るのにあいつはどこまでも邪魔だった。
なぜあの時、死ななかったんだ。
おまえが生きている限り、俺は気づいたことを何度でも思い出さなければならなかった。
それは大きな自己否定であり、自分の命を殺すことであり。
何度も何度も翔に殺されたから…
だから殺してやったんだ
なんで今頃?
床に落ちている地図…
立ち上がると手に取った。
お前は俺のことを許しはしないだろう。
だから、まだ復讐し続けているのか?
…ここに行けば…
お前は俺を許してくれるのか