• テキストサイズ

翼をもがれた竜【気象系BL小説】

第14章 啼き竜


「智…テメエ…」
「俺は…喜多川の親父の子なんだろ…?」
「えっ…」

二人の叔父貴は黙ってしまった。

「あんたたちなら…知ってたろう…?」

総長はパワーウインドウを全開して、外の空気を入れた。

「…俺を放っておいてくれ。それが親父への恩返しだと…そう、思ってくれ」

窓を閉めるとタバコに火を着けた。

「……もう、俺を自由にしてくれ」

近藤の叔父貴もタバコを取り出し火を着けた。

「そこまで知ってるのか…」
「ああ…小杉が教えてくれたよ」
「ふん…あの野郎…」

車内は沈黙に包まれる。
紫煙を吐き出す音だけが響く。

「…相葉と松本のこと…頼む」
「ああ…わかった」

瞬間、総長は…智は笑った。


「良かった」


その声の調子で、わかった。


智は、今の瞬間…
全て脱ぎ捨てたのだと。

喜多川も…大野も…関係ない。

ただの…大野智に、戻ったのだと。


大野の家に着くと、叔父貴たちは車を降りていった。
ドアを閉めても、なおそこに佇んでいた。
車を玄関の前に着けると、智は降りていった。

「和也、寝室にこい」
「うん」

返事をすると、へへっと笑って玄関を入っていった。

/ 541ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp