第14章 啼き竜
車の運転は俺が任された。
総長が車に乗り込むと、近藤と東山の叔父貴も助手席と後部座席に乗り込んだ。
総長はパワーウインドウを下げると、外にいる智也に声を掛けた。
「これから二人連れて大野の家行くから。おまえ、車二台連れてついて来い。外で待ってろ」
「わかりました」
窓を上げると、車を静かに発進させた。
夜の街は…きらきら光ってる。
クリスマスが近いから、街がいつもよりも賑やかだ。
「草彅は…」
東山の叔父貴がつぶやいた。
「ああ…遠藤が上手く計らってくれるそうだ」
「そうか…」
「あいつはまだ腿の傷があるから、暫くは病院だろうよ」
「直ったら、取り調べか…」
「だろうな…起訴されるまでは時間がある。弁護士は?」
「もう手配してあります」
「腕はいいのか?」
「まあ…金さえ積めば、大丈夫でしょう」
「そうか…検察に渡りはついてるのか?」
「それも…大丈夫でしょう…」
「…充分してやってくれ」
「わかりました」
近藤の叔父貴が、俺と総長の顔を交互に見る。
「で…?俺達にいうことはねえのか?」
「ふ…まあな…」
総長は笑うと、少し窓を開けた。
冷気が、暖房で暑くなりすぎた車内の温度を少しだけ下げた。
「俺は、総長を降りるよ」
「えっ…」