第14章 啼き竜
ガラス窓の向こう。
相葉さんと潤が眠ってる。
二人仲良く、隣合わせのベッド。
集中治療室の中には頭の先からつま先まで真っ白の看護師や医師がウロウロしている。
相葉さんや潤の周りにはたくさんの機器があって、ベッドしか見えない。
面会は2人、5分までと決まっている。
今日は遅いから、中にはもう入れなかった。
窓に凭れかかって中を見ていると、後ろから温かいぬくもりに包まれた。
「和也…行こう…」
智の心地いいトーンの声…
「もう…電話いいの?」
「ああ…大丈夫だ。大野に戻ろう」
ロビーには、喜多川の連中が集まっていた。
「総長…」
松岡の叔父貴が歩み寄ってくる。
「松岡、今日は解散だ。病院番は亀梨に。容体に変化があったらすぐに連絡くれ。俺は今日は大野の家にいるから」
「わかりました」
「ああ…城島…ここに置いてやってくれ…」
「え…?」
「あいつは…ここに居たいだろうから」
「…ええ…」
「他の連中は帰るように言っておいてくれ。堅気に迷惑が掛かる」
そう言うと、近藤と東山の叔父貴に顔を向ける。
二人を連れて、駐車場まで歩いた。
周りを喜多川の若衆が取り囲んでいる。
この病院に迷惑かけてるが…
医院長を金で買収してあるから、外に漏れる心配はなかった。