第14章 啼き竜
何度も…何度も…
草彅は俺の身体にぶつかった。
もう、感覚がない。
周りの人垣の間から、大野がこちらを見ていた。
その顔は微笑んでいた
「なんで…?」
なんで俺が殺されないといけない。
景子…
お前の息子はなぜ俺を殺す。
「ふざけんな…ふざけんなぁっ…」
草彅の身体を掴むと、放り投げた。
「大野ぉ…テメエっ…」
取り囲んでいた人垣が割れて、はっきりと大野の姿が見えた。
近寄ろうとしたその瞬間、大野は無表情になった。
その目の奥
なにも、ない
「うああああああああっ…」
草彅の叫び声が聞こえた瞬間、俺の視界はブラックアウトした。
なんで?
なんで俺が死ななきゃならない
俺がなにしたっていうんだよ
フィリピンの家が見えた
ああ…早く…