第14章 啼き竜
大野の家が見える場所にある喫茶店の二階に入った。
アルバイトの女の子が水を持ってきてくれる。
ホットを頼むと、大野の屋敷を眺めた。
とりあえず長期戦かな…
でも週末には景子来るしなあ…
誰も見てないのを確認して、懐から拳銃を取り出す。
弾を装填してあるのを確認すると、セーフティーを掛けて再び懐に戻す。
ホットが来て、少しずつ啜っていると、黒塗りの車が屋敷に吸い込まれていった。
あれはいつも大野が乗っている喜多川の車だ。
飲み終えると、ゆっくりと一階に降りた。
会計を済ませると外に出る。
屋敷の近くの交差点に立って、暫く眺めた。
ここなら。確実だ。
でもなあ…
目立つ。
どうしようかと思案していたら、懐の携帯が鳴った。
表示を見ると櫻井からだった。
「もしもし?」
『ああ…成田。今どこにいる』
「なんで?」
『おまえの言っていた警察内部のことだがな…』
「え?」
トン、と背中になにか当たった。
「電話を切れ」
聞き覚えのある声だった。
振り向くと、遠藤警視正が立っていた。
「え…?」
「早く。電話を切れ」
「なんで…?」
持ったままの携帯を取り上げられた。
「おとなしくしてろよ?わかるだろ?」
背中にあたっているのは、銃口だった。