第14章 啼き竜
移動してる間に、組対の情報屋から情報を買った。
大野智はどうやら今、喜多川には居ないらしい。
それもそうか…
幹部殺してやったもんな。
今頃あたふたしてるに決まってる。
ウチのデータベースになにも上がってなかったってことは、世間には出てないってことで。
どうやってあの二人を隠したんだか。
それに…あの草彅ってやつ…
腿を撃ちぬいただけだけど、重傷を負っているはずだ。
今頃、喜多川の内部はばたばたしてるはずだ。
とりあえず大野の家へ向かった。
ばたばたしてようが、ここに寝に帰ってはくるだろう。
長年の勘みたいなものだった。
なにかあると大野智はすぐここに逃げ込むように帰ってくる。
芯の弱いボンに見えた。
だけど…
この前、初めて喋った時…
なにか変わっていた。
相変わらず甘いことには変わりないが。
目の底が、深かった。
人間、箔が付きゃ落ち着くってか…?
櫻井の息子が死んだ時は、あんなにトチ狂ってたのに。
「ふん…」
あの喜多川の爺が死んでから、やっと自由に動けると思ったのに…
気に入らないことが多すぎる。
なにがあったわけじゃないが…
喜多川は、俺のこと知りすぎた。
やっぱり…潰さないとね。