第14章 啼き竜
そのまま連行されるような形で、警視正の車に連れて行かれた。
運転席に居たのは…
「岡本…」
「だから早く帰れって言っただろ」
「なにしてんだよ…?」
「まあ…な」
曖昧に笑うと、車を発進させた。
助手席の奴は振り返りもしない。
危険…危険…危険…
身体を信号が駆け抜ける。
身体に力を入れると、腕を乱暴に掴まれた。
「成田。ちょっくらつきあえよ」
「は…?」
「いいだろ?有給中なんだから」
「…どこに…」
「おまえ…昨日おいたしただろ?」
「……なんのことですか」
「ふ…まあいい。おまえにしたらたいしたことじゃないのかもしらんしな」
そう言うと、警視正は俺の腕を掴んだまま前を見た。
「佐野」
助手席に居た奴が振り返った。
「佐野部長っ…」
「やあ…成田さん…休暇中にすいませんね…」
のらりと、佐野は笑った。
眼鏡の奥の瞳…
笑ってない
「なん…なんだよ…」
「さあ…僕たちは用はないんです」
「え?」
「これから用がありそうな人のところに、ただ、連れて行くだけですから、安心してください」
「な…なに言ってんだよ…」
銀縁のメガネを指で上げた。
「成田さん…あなた、殺しすぎた」