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翼をもがれた竜【気象系BL小説】

第14章 啼き竜


途中、遠藤警視正とすれ違った。
昔居た部署で先輩だった人だ。
別段仲良くした覚えもない。
軽く頭を下げてすれ違った。

「おい成田」

後ろから声を掛けられた。

「はい?」

ぎょろりとした目が俺を捉えた。

「靴紐、解けてるぞ」
「あ…」

革靴の紐が解けていた。
顔を上げると、もう警視正の背中しか見えなかった。

「…ありがとうございます」

階級社会だからね。
一応、形だけでも礼を言っておいた。

…最近、なんだか周りが煩いな…

建物を出ると、地下鉄の入り口に急いだ。
外は凍えるような寒さだった。
早く準備しなきゃ。

大野智は今、どこだ?

とりあえずマークしてる場所を目指す。

喜多川の事務所と、大野の家。
どちらかに居るはずだ。

でも、総長になってからめっきりとガードが硬くなったからなあ…
どうやって殺してやろうか。

邪魔なやつ…

櫻井の息子殺す時も、邪魔だったなあ…
景子の息子だからって、殺さないように注意しなきゃいけなかったし。

こんなことなら、あの時まとめて始末してやりゃよかった。

あ…

そっか…
もう面倒だから…


櫻井も、殺しちゃおうかな。


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