第14章 啼き竜
「だからね…小杉、殺されちゃったみたい。死体出てないけど、多分、もうこの世には居ないね」
「な、なんでだ…」
「だってもうずーっと…連絡ないんだもん。あの気の小さい爺さんがなんも言ってこないなんておかしいから」
「誰が…」
「そんなの大野に決まってるよ」
「え?」
「ああ…今は、喜多川か…ほら、あんたの息子の頭だった人」
「大野智か…」
「だいぶ、俺達の事知ってるみたいだよ…?だから小杉殺したんじゃない?」
立ちあがって櫻井に歩み寄った。
血走った目をして怯えてる。
…これもサービス…
そっと抱き寄せると、背中をポンポンと叩いた。
「SP、つけてもらいな?それと、早く経産省の事務次官になってね?なったらおおっぴらに守ってあげる」
「成田…」
「じゃ、俺いくね」
トンと身体を押すと、椅子に崩れ落ちた。
乱れた白髪を少し直してあげてから部屋を出てきた。
「あー…気持ち悪い…」
すぐにロビーに降りるとトイレに入って手を洗った。
汚いなあ…
ホモなんて…
なにがいいんだろ。
気持ち悪い。
手を洗うと、懐に手を入れてハンカチを取り出した。
「痛…」
昼間殴られた脇腹が痛んだ。
「ちぇ…なんで俺が…」