第13章 竜王申し
そのまま俺も後部座席に放り込まれて、車は走りだした。
「俺の知り合いの医者んとこ行きますから」
晒で俺の腿を松本はキツく縛った。
止血しても無駄なんじゃねえかってくらい、血が出てる。
身体が勝手に震えて、寒い。
歯の根が合わなくなる。
「相葉、早く。危ない」
松本が運転席に向かって話しかけてる。
「わかった」
その声を聞きながら、俺の意識は途絶えた。
目を開けたら、見慣れない場所に寝て居た。
傍らに二宮が座っている。
「叔父貴…」
呟きに応えるように頷くと、二宮は部屋を出て行った。
入れ替わりで智が入ってきた。
「草彅…」
「ああ…智…成田どうした」
「おまえの神社の裏のヤサに監禁してある」
なんとか、俺も成田も生きていた。
「成田は、おまえを殺しに来たのか…?」
少し笑いながら、智は傍らの丸椅子に座った。
「…俺達がどれだけ真相を握っているかの確認、それから俺を殺すことだったろうと思うが、シャブを売りさばいてくれる組を紹介しろとも言ってた」
「なんだそりゃ…」
呆れたように言うと、智は笑った。
「草彅、ゆっくり休めや」
「智、そんな場合じゃねえだろう」
「あにいってんだ、おまえヘタしたら足切断だぞ」