第13章 竜王申し
「だってあの人、自分で…殺したいって言うんだもん。だから止めだけにしてもらった」
驚いて目を上げた瞬間、成田の身体が倒れた。
「すんません!叔父貴!遅くなった!」
松本と相葉が成田を押さえ込んでいた。
ガクンとその場に崩れ落ちる。
今…なんて言った…
櫻井の親父は、自分の手で自分のガキを殺したってのか…
成田はやっぱり表情を変えずに大人しくしてる。
抑えこんでる松本と相葉のほうが頭に血が昇っていた。
「こいつ…!てめえ!」
「やめろ」
「叔父貴!早く病院に…」
「そいつが成田だ」
「え…」
松本と相葉は成田のツラを見た。
突然、二人の空気が変わった。
瞬間、成田は暴れだした。
松本がそれを押さえ込んで、相葉はどこかに走りだした。
俺は流れる血をそのままに、その光景を見ているしかなかった。
松本が成田をめちゃくちゃに殴りつけ始めた。
それでも成田の抵抗は変わらなかった。
急所を避けるように動いているんだろう。
苛立った松本は無表情に成田の頭を地面に叩きつけた。
さすがの成田も暫く動けない。
松本は自分のベルトを引き抜くと、成田の手首を縛った。
成田のベルトも外すと、足首を縛った。
そこに黒塗りの車が滑り込んできた。
相葉が降りてきて、成田をトランクに放り込んだ。