第4章 傷だらけの翼
「…嘘つき…」
自分の声で、目が覚めた。
目を開けると、組事務所のベッドで俺は寝ていた。
傍らには松本が立っていた。
俺の顔を見ると、そっとハンカチを差し出してきた。
「……?」
「涙が…」
そう言って松本は俺の顔をそっと拭った。
「すまない…」
「いえ…」
「姐さんは?」
「先程帰られました。若頭が送って行っています」
「そうか…」
毛布の掛かった身体を起こすと、松本が支えてくれた。
「歩けますか?」
「ああ…」
立ち上がろうとしたが、頭がくらっとして倒れそうになった。
「組長!」
松本が俺の身体を支えた。
「いけません、今日は事務所に泊まりましょう…」
「いや…帰る…」
「組長!」
「帰るって言ってんだろうが…」
松本を突き放そうとしたけど、俺よりもたくましい腕に阻まれてできない。
「組長っ…」
もがく俺をベッドに押し倒して、松本は俺に覆いかぶさった。
「なにしやがんだ…テメエ…」
「抱きますよ…?」
松本は真剣な目をして俺を見る。
「俺に抱かれたくなかったら、言うこと聞いて下さい」
「ヤメろ…触んな…」
「だから、ここで休んで下さい…お願いします」