第4章 傷だらけの翼
「ねえ…翔」
「はい。なんでしょう」
ベッド際に座って靴下を履く翔の吉祥天を眺めながら、俺は背中に抱きついた。
「いつ海辺の家に連れて行ってくれるの?」
「ふふ…まだだめです」
「なんで?」
「なんでだと思います?」
翔は振り返ると、俺を押し倒してキスをした。
「…もう…教えてよ…」
触れるだけのキスなのに、俺の身体はまた熱くなっていた。
俺を見下ろす翔の赤い唇に指を這わせ、キスをねだる。
翔は微笑むと、また俺に軽いキスをしていく。
「足りない…」
「もう…今、シたばっかでしょう…」
「だって…翔がいけないんだよ?」
「なんでですか?」
「かっこいいから…」
翔は目を大きく開くと、破顔して俺を抱きしめた。
「もうっ…智はかわいいなあっ…」
俺を抱きながらゴロゴロ転がると、身体を離してまたキスをくれる。
「…まだあの家にはいけませんよ」
「だからなんで?」
「ベッド、まだないから」
「え?」
「エッチできないでしょう?」
「も、もうっ…翔のばかっ…」
翔は笑い転げると、俺の横に寝転がった。
「ああ…今日、ここで寝てもいいですか?」
「え?いいの…?だって…」
「用事はなくなりました」
「えっ」
「智の傍に居るっていう用事ができたから」