第13章 竜王申し
腿の付け根に焼けるような痛みが走った。
「これで逃げらんないね」
ぬるりとした液体が腿を伝っていくのがわかった。
こんな街中でぶっ放しやがった。
「…ちょっと教えてね。俺に辿り着いたってことは、大体わかってるんだよね?…小杉も殺したんだよね?」
少し身体を離して成田は俺の顔を見た。
やっぱりなんの表情も浮かんでいない。
「便利だったのになあ…あのじいさん…」
腿の痛みが徐々に全身に広がってくる。
でもこの痛みが、逆に俺の意識をはっきりさせた。
「ねえ、シャブ売りさばいてくれる組、紹介…してくんない?喜多川はガードが硬くていけない…」
ふわふわ、実体がないような言葉。
こいつは…幼いんだ。
身体だけ年をとって、精神年齢は赤ん坊のまんまなんだ。
「なあ…教えてくれよ。そしたら紹介してやるよ」
「なんだよ」
成田の腕をぐっと掴んだ。
「俺の手下殺したのは、西村組の独断だったのかよ?」
「え…?」
「俺は元々大野の客分だったんだよ。俺の手下が、俺の弾除けになって死んだんだ…アンタ、そんなこと覚えてないよな?」
「…そうだね…俺が殺したのは、櫻井の息子だけだね」
「櫻井の…息子…」