第13章 竜王申し
拳銃を脇腹に突きつけられているような感覚に陥った。
ゆっくりと成田はこちらに歩み寄ってくる。
ビビる必要なんかないとわかっていても、身体がそれを拒否する。
力の入った身体をなんとか動かして、コートのポケットに入れていたヤッパ(ナイフ)を握る。
いつの間にか、成田は目の前に来ていた。
俺に向かって手を伸ばすと、肩を掴んだ。
「…邪魔だね。お前ら」
真っ昼間だ。
なのに、成田の手には拳銃が握られていた。
「俺をバラすつもりか…」
問いかけに、成田は答えない。
はじめから聞こえていないかのように表情が動くこともなかった。
「思ったよりも…手間取るなぁ…」
一言呟くと、掴んだ肩を引き寄せた。
「一抜けしようか?」
なんのことだかわからない。
わからないけど、それは俺を殺すという意味だと思った。
「…俺を殺したって…状況は変わらねえよ?」
「変わんなくてもいいんだ。一匹一匹…潰していかないとね…あんたんとこの総長はちょっと大物になりすぎたね。手を出しにくい…」
なんの感情もこもらない声で言うと、拳銃が俺に押し当てられた。
サイレンサーがついたそれが、震えた。
ガツンと身体に衝撃が走った。