• テキストサイズ

翼をもがれた竜【気象系BL小説】

第13章 竜王申し


株の売買で増やした、前の組の金。
それを希子に託した。
今の組で着実に増やしつつある資産は、俺の懐にある。

「智よ…」
「なんだよ。叔父貴…」

ここに居ると、昔に戻る瞬間があって。
こいつは総長でもないし、俺は喜多川の手下でもない。
昔のまま…

「前に言ってたろ…相葉と松本を頼むって…」
「ああ…」
「俺は無理だからな?」

相葉と松本が、慎吾みたいに智を慕ってるのは知ってる。
だから智は遺していきたい。
きっと、これから先は血塗られた道になるのだから。
そんな修羅場にあいつらを巻き込みたくないんだろう。

「…あんたに翔のデータを見せた時点で…もう諦めてる」

そう言って智は微笑んだ。

ここにきて…

智は強くなった。
折れそうになる直前で靭やかに立ちあがって笑ってる。
纏っている雰囲気も変わった。
甘えたような空気はどこかに行ってしまって、ずっしりと地に足がついてる。
時々見せる眼光は、俺でさえ震えが来る。

総長の看板がそうさせているのか…
次々にわかってくる、こいつにとって残酷な現実がそうさせているのか…

「なら、良かった…」
「だから懲罰委員長の任を解いたんだ。気が済むまで、やろう」

/ 541ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp