第12章 竜飛
「自分の親父を…殺すつもりだったってことか…」
草彅が俺の顔を見た。
「ああ…俺宛の手紙には…そう、書いてあった…」
「…なにもかも、自分で背負い込むつもりだったんだな…」
そう言いながら、もう一枚の文章を開けた。
それは、俺と翔が制裁無しで喜多川を大野を足抜けさせるという、喜多川の親父からの文書だった。
「え…?」
目の前が真っ暗になった。
「智っ…」
後…
あと一歩で…
俺たちはしあわせになれるはずだった…
俺達のしあわせは、そこにあるはずだった…
あんなことしなくても…
俺たちはしあわせになれるはずだったのに…
なんで…?
なんでこれを捨ててしまった。
翔…
「しっかりして!智!」
頬を衝撃が走った。
和也が俺の肩を持って揺すった。
「最後まで…翔さんの残したもの、最後まで見ろよ!」
草彅も俺の腕を掴んだ。
「櫻井は…どこまでも自分の手でケリつけるつもりだったんだ…わかるか?智…」
暗い…ここはくらい…
「わかってる…」
和也の熱だけ感じる。
「俺も…自分でケリつけるだけだ…」
草彅の手が俺の頬を拭っていった。
「全部…見るぞ…」