第12章 竜飛
扉を蹴破るように和也が部屋に入ってきた。
「智っ…」
振り返ると、和也の手を取って引き寄せた。
「総長…」
草彅が入り口に佇んでいる。
「頼む…ここにあるデータを…確認してくれ…」
頷くと草彅は部屋に入ってきた。
ノートパソコンの位置を変えると、フォルダをひとつひとつ開けて、データを確認していく。
部屋は、徐々に暗くなっていく。
和也を抱きしめたまま、熱いんだか寒いんだかわからないけど、ずっと俺は震え続けていた。
「…櫻井は…ほとんど掴んでいたようですね…」
「ああ…」
草彅の顔をブルーライトが照らしてる。
震える身体を、和也を抱きしめることでなんとか抑えた。
「あ…?」
草彅の声に画面を見つめる。
「智…」
そこには、フォルダが2つ開いていた。
USBというフォルダと、USB本体のフォルダ。
「移してないデータがUSBに残ってる…」
それはふたつあった。
ひとつは、公安の成田に関する調査書だった。
「このUSBは確か…翔さんはデータをすべて消して初期化までして…」
和也が俺の肩をぎゅっと抱いた。
「…このデータを活かすつもりはなかったって事だな…」
草彅は成田のデータに見入ってる。