第12章 竜飛
もし、俺が死んだとしたら…
それは親父の仕業だろう。
親父は俺を二度殺すことになる。
そして、それを実行してしまったんだろう。
一度目に俺を殺したのは、大野に拾われる前。
同性の恋人が居ると知られた瞬間、親父は他人になった。
罵声を浴びせられ、俺の恋人は自ら命を断った。
そして、俺も後を追った。
それは恋人を追うためと…
人生の全てに絶望してしまったから。
親に殺される。
そんなこと智には想像もつかないかもしれない。
直接手を下さなくても、人は殺せる。
それを実の親にされるとは、その時の自分は思ってもみなかった。
そしてそれが現実だと知ると、俺には生きていく気力なんてなかった。