第12章 竜飛
次に開いたのは喜多川のファイル。
ここにはUSBとついたフォルダが入っていた。
さらに小杉組や松尾組に関する資料が突っ込んである。
最後にもう一つ…
翔のマイドキュメント。
そのまま復元してある。
手が、震えた。
フォルダを開くと、画像やメモ、幾つかのアプリ。
調査報告書みたいなもの、Wordの文章。
そして、日記…
こんなものつけてたんだ…
一旦フォルダを閉じると、どこから手を付けようか考えた。
USBがあることを思い出して、それをノートパソコンに接続した。
中を開いてみたら、そこには調査報告書のようなもの。
そしてWordの文書が幾つか。
少し背もたれに凭れて、どれから開こうか考えた。
核心に迫るのは怖い。
でも…
ここを乗り越えないと、きっと前には進めない。
翔のマイドキュメントをもう一度開く。
「あ…」
そこには”智へ”と名前のついた文書があった。
目を閉じて、高鳴る心臓を鎮める。
意を決して、その文書を開けると画面に見入る。
陽光が傾き始めた部屋で、俺は一人。
過去の翔と対峙する。