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翼をもがれた竜【気象系BL小説】

第12章 竜飛


草彅の送りで大野の家へ帰った。
まだ日が高い。
玄関を喜多川の若衆が開けて出迎えてくれた。

「総長…なんかあったのか?」
「え?」
「昨日、シゲんとこ行ってたんだろ?」
「…ああ」

リビングのドアを開けると少しだけ考えた。
だけど、やめた。
踵を返して寝室に向かった。

「一人にしといてくれ」
「…わかりました」

草彅はリビングに入っていった。
そのまま自分の寝室に行くと、二宮がベッドに座っていた。

「なにしてんだ…」
「こっちに戻ってくると思って…」

お見通しってわけだ…

「翔の…データを見る」
「…わかりました」

棚の上に置いてある翔のデータの入ったパソコン。
それからUSB。
手に取ろうとして、そのまま動けなくなる。

昨日の夜も、こうなった。
だからなにもしなかった。

できなかった…

いつの間にか後ろから和也が俺を抱きしめていた。

「智…」
「和也…」

見なきゃいけないのはわかってる。
だけど、どうしても…

怖かった。

どれだけ翔が一人だったのか、思い知るのが怖かった。

「翔は…」
「え…?」
「全部知ってたのかな…」
「わからない…けど、核心まで行ってたと思う…じゃなきゃ…」

和也はぎゅっと俺を抱きしめた。

「殺されないと思う」

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