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翼をもがれた竜【気象系BL小説】

第12章 竜飛


霞が関に着くと、遠藤の携帯を鳴らした。
警視庁の周りをグルグルしながら折り返しを待っていると、ショートメッセージが入った。

”霞が関駅A2出口”

「は?」

”その付近に国交省があるから停車してろ”

「草彅、国交省の周りで霞が関のA2出口付近で停まってろと」
「はあ…じゃあ、あの辺りかな…」

ハンドルを切ると少し車通の少ない通りに入った。
国交省側に車を寄せて止めていると、またメッセージが入った。

”俺の前を歩く男”

A2出口の方へ車をゆっくりと走らせると、黒のトレンチコートを着た遠藤が見えた。
その前を、あの男が歩いていた。

「成田…」

ベージュのトレンチコート。
スーツを着ている。
ダークブラウンの革靴を履いて、手には大きなボストンバッグを持っている。
これからどこかに出張だろうか。

襟を立てて寒そうに肩を竦めているが、その表情はちっとも寒そうじゃない。
なんの表情もなかった。

ゆっくりと通り過ぎた後、遠藤からまたショートメールが入った。

”外務省の前にいる”

「遠藤が拾いに来いとよ。外務省の前だ」
「わかりました」

そのまま警視庁をぐるっと回って外務省の前で遠藤を拾った。

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