第12章 竜飛
なんか色々謎だったが、なんとなく信用してみようと思った。
「おい。岡田ってやつから連絡あったら絶対言えよ」
「わかりました」
近くのパーキングに停めてある車を草彅が回してくるまで、劇場の前で佇んでいた。
小さな劇場の割に、ここには3つもステージがあるらしい。
「一応…遠藤に確認とっておくか…」
スマホを手に取ると、あっちから掛かってきた。
「もしもし」
『ああ。すぐ出られるか』
「あんたも急なやつだよな」
『”も”ってなんだよ。”も”って』
「今、池袋だ。どこに行けばいい」
『桜田門』
「へえ…」
『珍しくこっちに顔だすんだと』
「優秀なスパイが言ってきたのか」
『まあな』
「あんた…もしかして出世が掛かってんのか?」
『んあ!?』
「警視正から…警視長か?」
『なにいってんだよ…』
「大方、成田片付けたら餌やるよって言われてんだろ?」
『うるせえなぁ…』
「なにもないのにこんなに動いてくれるわけねえもんなあ…」
くっくと笑うと、向こうは唸り声を出した。
『うー!もう来れんのかよ来れねえのかよ!?』
「行くよ。すぐ行く」
『来たらワンコール入れろ。その辺に停めて待っとけや』
「停まってたら検挙されんだろうが」
『されねえとこで待ってろ』
ぶちっと電話は切れた。